2005/10/23(日)   猫耳少女が全て解決しますっ

ここはとある少女の寝室。
そこでは当然のように少女がタオルケットを被って寝ています。
少しだけ蒼く染まった髪は胸元まで伸びており、
その寝顔は天使のように可愛く・・・・っと、
そろそろ彼女が起きる時間ですね・・・・それじゃ私はそろそろ・・・・


「うーん・・・・・・・・おき・・・・にゃきゃ・・・・・・・・」
そう思うと私はまだ言う事を聞かない体を起こして、携帯電話に手を伸した。
時間は朝の九時。外はいつもの様に青い空と太陽がちょこんと浮かんでいた。
私の名前は美輪坂隷亞(みわさかれいあ)、漢字で書くと結構大変なので、
学校のテストでは全部ひらがなで書いています。
いつもの様にリビングに行くと、いつもの様に
おにいちゃんがテーブルで新聞を片手にコーヒーを飲んでいました。
「おはよっ、健介おにいちゃん」
「おはよう、隷亞」

健介おにいちゃん、私の従兄弟で私の身の回りのお世話をしてくれる人。
小さい頃、私のお父さんとお母さんが世界を飛び回る事なったので、
その時から、この人と一緒の家に住んでいます。
「まったくろくな事が無いなぁ・・・・」
新聞を読みならおにいちゃんはそう呟くと、私は席に座りました。
「また幼女誘拐事件?」
「あぁ、これでもう五人目だ」
最近、私たちの間で話題になっているのは連続幼女誘拐事件。
その手口は悔しいほど鮮やかで、警察も手がかりを全く掴めないとか・・・・
「で、健介おにいちゃんのほうは手がかりを見つけたの?」
「知り合いに“そういう筋”に詳しい人調査をお願いした」
「そういう筋・・・・って事はやっぱり・・・・」
「あぁ、まだ断定出来ないけどな・・・・」
“そういう筋”と言う言葉を聞いた時、私は「行かなきゃ」と心の片隅で思いました。
が、そんな私の気持ちに感づいた健介おにいちゃんは一言、
「隷亞、無茶だけはするな」と忠告し、私の身を案じてくれました。


“そういう筋”の事件、それは日々進化していく現代科学の常識が、
一切通用しない事件。そう、その事件の原因は幽霊や魔術師や異形の者ども
だったりします。 美輪阪家はそんな現代科学の常識が一切通用しない、
事件を解決する家系なのです・・・・



午前十一時、私は家を出ていつものスカートとワンピース、
そして手さげ鞄を装備して、いつものように街を散策していました。
街は煮えたきった鍋のように暑く、
猫耳ベレー帽を被らないと倒れてしまうぐらいでした。
そんな暑い街をふらついていると、
私の方へと見知らぬお姉さんが、近寄ってきました。
「ちょっちょっと、そこのお嬢さん少し・・・・」
その明るい声は、よく都会で流行っているキャッチセールスかな・・・・?と、
思ったのですが、少しだけ・・・・普通の人からは
感じない気がその人にはありました。
その気を感じ取った私はそのお姉さんに付き合う事にしたのです。
「何かな?」
「こう毎日暑くてイヤじゃない?」
「まぁ・・・・そうですね」
「なら、私と一緒にアイス食べに行こっ、ね?ね?」
私はその時お姉さんから感じ取った気で大体の事が解りました。
その手口の全てと、この事件の犯人がお姉さんだ。って事を・・・・
「・・・・う・・・・うん」
「ふふふ、決まりね。それじゃ私について来なさい」


私がお姉さんから感じ取った気、それは明らかに人間の物ではありませんでした。
普通の人なら「ね?ね?」の時と同時に術にかかってしまい、
お姉さん言いなりになってしまうです。
普通の人ならここで言いなりになるのですが、
私は“大体の術”への抵抗があるので、大丈夫です。
言いなりになった後のお姉さんの声はさっきとは違い、冷たいだけで、
その手の爪は赤く異様に伸びていました。まるで狩人のように・・・・


お姉さんは私をとある空き地へと連れて行きました。
休日だと言うのにその空き地には親子連れや、子供達もいないので、
寂しい雰囲気であり、そして狩りを行うにはもってこいでした。
「私・・・・どうなるのですか?」どうなるかは解っていましたが、
念の為、私はお姉さんに質問します。
「大丈夫、痛くしないから」そう冷たい声で答えたお姉さんは
私へとゆっくりと近寄り舌で自分の唇を舐めます。
自分の術が効いていると思っている隙に私は、
このお姉さんを倒す方法を考えました。
今持っている札で効きそうなのは「火葬」だけ、そうなると
武器も使わないと駄目。武器は・・・・
考えがまとまった頃にはもうお姉さんの手が私の肩に触れていて・・・・
「いただきまぁ・・・・」と、言いかけた瞬間、
私は隠し持っていた札をお姉さんの額に貼り付けて呪文を唱えました。

「・・・・インシネレートッ」
呪文を唱えた瞬間、貼り付けた札が燃え出し、
お姉さんはのけぞりました。
「ぐ・・・・ぐわぁ!お・・・・お前は何者だ」
「私は・・・・美輪阪隷亞。」
私がそう答えると、お姉さんについた火は
上半身へと移りましたが、
「まだ・・・・まだだ。 ・・・・このまま死ぬわけには・・・・」
と言いつつ再び私のそばへと寄ってきます。
だけど、ここでぼっとしている訳にもいけません。
そう思った私は次の手段を実行に移しました。
「ごふっ!ぐ・・・・ぐゎ・・・・」
「普通じゃない人」の弱点。それを知っている
私はその弱点に竹串を突き刺しました。
お姉さんも最後の気力を振り絞って私の方へと
近づこうとしたのですが、後一歩のところで息を引き取りました・・・・


その夜、私は早速事件が解決した事を健介おにいちゃんに伝え、
二人で楽しく「れいしゃぶ」を食べていました。
「で、こっちも事件の背景を調べていたんだが・・・・
朝話した“その筋”に詳しい人がこんな事を言っていたんだ。
“それ吸血鬼の仕業かも知れません”・・・・ってな」
吸血鬼と言う言葉を聞いた私は、はっと思いました。
そういえば「大丈夫、痛くしないから」ってお姉さんが言っていた事を。

健介おにいちゃんの話しによると、
吸血鬼が生きていき、そして魔力を保つ為には、
若い女の子の生き血が必要で、お姉さんもそれが目当てで
誘拐していった・・・・ということなのだそうです。
そしてこの調査を手伝ってくれた方が、
“なんで人は永遠の生を求めるでしょうね?
「永遠に生きる」という事は「死ねない」事なのに・・・・”
と、ぼやいていた。 と健介おにいちゃんは言っていました。
やはりお姉さんもいつまでも生きたいと望み、
吸血鬼となったのかも知れません。
これは私の想像ですが・・・・

不死immortalの存在である「神々」に対して、
死すべき存在である「人間」
Fuckin' Kingdom - Diary(2003/03/27)


(全てを書き終えて)


某Jeido先生(謎)が「三つのぁ界のうち、一番小さなぁ界」を題材にして
書き上げた小説に影響を受けて作ってしまいました。
基本設定は過去の遺産を継承し、魔法少女とか吸血鬼は
当時旬だったもの(2005年07月辺り)を取り入れています。
次は・・・・少し軽いけど本格的な昔話を書きたいですね。
ヒロインは勿論のえみちゃんで(わらぃ